「Zoomによる小学校英語・なんでも相談交流室」

「Zoomによる小学校英語・なんでも相談交流室」

 今年度の委託事業から、全12回の講座に加え、新たに追加した、自由参加の相談・交流コーナーである。全3回実施した。実施方法は、再委託機関を通さず、明海大学が指定したZoomに希望者が入室することとした。全3回とも、指導者は、藤田保・上智大学言語教育センター長、教授(J-SHINE専務理事)とした。以下がその概要である。

第1回 7/26(火)15 : 20〜16 : 20


参加者:足立区専科教員・浦安市専科教員・いわき市教員

相談内容と講師からの回答

相談①

私は小学校1年生から4年生までの外国語活動を教えている専科教員である。その中で、特に、1、2年生の英語の授業を45分間で楽しく実施することが難しい。

回答①

あまり学校で決めているCAN-DO List に縛られなくてもいいかと思う。歌やゲームなどで活動中心に授業を行ったらいいと考える。アウトプットよりはインプットを重視した方がいいかと思う。そうすることで、アウトプットは3年生からの外国語活動につながっていく。

相談②

私は3 年生の外国語活動を教えている学級担任である。どうしても日本語ではこういう意味だと教え、習得させたくなるが、週1回の授業では、習得は難しい。

回答②

確かに週1 回の授業では定着はしにくい面がある。例えば朝の会や帰りの会などで帯活動として1 分程度でいいからフラッシュカードや絵カードなどで英語の単語の復習を行うなどを継続してやることもできる。

相談③

英語の発音は完全には日本語に置き換えることはできないことは分かっているが、英語にひらがなやカタカナでルビを振ることはあまりいい方法ではないと言われているがいかがか。

回答③

先生がルビを書いてしまうと、児童は英語そのものに目がいかなくなり、英語に馴染むチャンスがなくなってしまうことになる。また、カタカナあるいはひらがな読みをすることとなり、英語の発音にならないこととなる。したがって、先生がルビを振ることはあまり勧められない。ただし、児童が自分が聞こえた通りに、自分でカタカナやひらがなでルビを振ることはあっていいと考える。

相談④

コロナ禍においては、英語の授業はマスクをしての活動となるが、教師の言っていることがきちんと伝わっているか、また、子どもたちの言っていることをきちんと教師が分かっているか、疑わしい状況にある。

回答④

現実問題として学校ではマスク着用で授業をせざるを得ない。これは切実な問題である。ただ、児童に正しい英語の音の出し方を確認させる方法としては、先生が口の形を見せるとき、一瞬マスクを外し、児童に確認させることはできると考える。あるいは、ビデオやスライドの活用も考えられる。

相談⑤

私は小学校3年と4年の外国語活動を担当している専科教員である。学級担任と異なり、授業以外での子どもたちとの接点が少ない、英語の授業以外で日頃の補強ができない悩みがある。

回答⑤

学級担任にお願いして、教室の横や後方の掲示可能な部分に、学習した単語や表現などを貼っていただくことなどはできるかもしれない。あるいは、朝の会や帰りの会などで、ほんの1 分程度でもいいから学習した単語などをフラッシュカードや絵カードなどでやっていただくようにお願いすることも考えられる。

相談⑥

単元の終わりに、まとめの活動を行わせたいが、何かいい方法はないか悩んでいる。

回答⑥

単元の内容によって、まとめの活動は変わってくると考える。これも学級担任にお願いすることとなるかと思うが、他教科、たとえば社会や理科などで学んだ内容とリンクさせ教科横断的なまとめの活動を行うことなどで、単元で学んだ内容を深めることができると思う。自ら何をやりたいかといった自己選択権を児童に与えれば、モティベーションが高まるまとめの活動を行うことができると考える。

第2回 10/14(金) 15 : 20〜16 : 20


参加者:足立区教員・いわき市教員

相談内容と講師からの回答

相談①

私は小学校4 年生の担任で外国語活動を教えている。小学校と中学校の接続に関して、中学校の先生の認識と小学校の先生の認識の温度差がある。具体的には、中学校の先生方には、小学校で英語をやってきているのに英語を書けないなどの意見がある。

回答①

中学校の先生には、小学校での学習内容を学習指導要領などでよく理解していただかなければならない。小学校では、英語の文字や単語を書き写すまでが求められている。こうしたことを分かっていただくためには、教員個人というよりは、教育委員会が小中連携の取組を通して進めていくことが大切である。

相談②

本校は中学校を併設している。私は小学校3年の学級担任をやっていて、外国語活動の時間に中学校の英語の先生と一緒にT.T で授業を行っている。中学校の先生は、児童の授業の理解度をあまり理解しようとはせず、理解度の低い児童を「置いておく」授業となりがちであり、小学校の先生は私を含めて、「置いておかない」授業を心がけている。どのように対応すべきか。

回答②

小学校の先生は萎縮しないでほしい。やはり、児童のことを一番理解しているのは小学校の先生であるから、小学校の先生がT1となって主導権をとり、中学校の先生は、英語の専門家であるから、「これって英語で何と言うのか」などについて児童の支援をT2 として行うことがいいと考える。小学校3 年生の外国語活動の時間であるからには、児童が英語を楽しんで学ぶことが肝要である。

第3回 12/2(金) 15 : 20〜16 : 20


参加者:足立区教員・いわき市教員

相談内容と講師からの回答

相談①

私は小学校4 年生の担任で外国語活動を教えている。学級では自信のない子が多く進んで外国語活動の授業に参加してくれない。どうしたらいいか。

回答①

英語ができないのが当たり前ということを児童に理解させることが大事である。コミュニケーションについては、心理的安全性という概念があるがこれは安心して話すことができる環境について言ったものである。そうした学級の環境づくりが一番大切である。学級づくりにおいてお互いがそれぞれリスペクトできる環境を作り、子どもが自由に英語を口に出す、そんな学級にしていくことが必要である。場合によっては、単語レベルであれば、日本語が多少入っていいとも思う。

相談②

小学校の3 年生を担当している。もうこの時期であるから、外国語活動の評価について、何を基準にして、できた、できなかったという線引きをするかについて分からない。

回答②

児童が活動に参加していることで良しとしていいのではないか。何から何まで教師がすべて評価するということよりも、CAN-DO List を提示して、児童自身に評価させ、それを教師として重視することもあると考える。