歯学研究科
概要
歯科医療の知識や技術は、日進月歩で専門化している。ゆえに21世紀の歯科医師像は、患者の多様な要求に応えるスペシャリストであると同時に、より高いレベルで包括的な医療計画を立て、実践できるジェネラリストが待望されている。
こうした時代のニーズに対応するため、本研究科では、2つのコースを設置。コースに即した科目を履修することでスペシャリティを磨き、かつジェネラルな視点を修得できるカリキュラムを組んでいる。なお一般開業医や病院勤務歯科医、歯学分野の研究者および保健医療従事者などの社会人に対し、特定の時間または時期における授業による単位取得を弾力的に活用して研究を継続させ、博士論文を作成するカリキュラムもある。
高度で優れた臨床の知識と技術を兼ね備えたスーパードクターを目指す「高度口腔臨床科学コース」と、教育者、研究者や優れた研究能力を有する歯科医師等を目指す「口腔生命科学コース」を開設している。
○高度口腔臨床科学コース(「職業実践力育成プログラム(BP)」認定)
主に「再生再建、機能発達、健康増進」に関連した専門科目を学び、徹底した臨床教育、研究指導を通じて、優れた臨床歯科医を育成する高度な臨床知識・技能および先端臨床研究の修得を図る。
○口腔生命科学コース
主に「形態、機能、生体材料」に関連した専門科目を学び、幅広く深い知識および研究遂行能力を修得するための基礎研究・教育を行う。
ティーチング・アシスタント(TA)制度
TAとは、学部における実習・実験・演習等で―正規教員の補佐として―指導に携わる人材。TAを経験することで、教員・研究者としてのスキルアップはもちろん、過去に修得した知見・技能を再確認できるなど、そのメリットは計り知れない。大学院3~4年生の中から選抜される。
リサーチ・アシスタント(RA)制度
明海大学における研究の円滑な実施および研究者としての育成、ならびに経済的支援を図り本学が行う研究プロジェクトの研究補助者として従事する。大学院1~2年生の中から選抜される。
明海大学歯学部生涯研修部(CE)との連携制度
全国で唯一の大学運営による生涯研修プログラム―明海大学歯学部生涯研修部(CE:Continuing Dental Education)と連携。CEの各種研修受講料がコースプログラムによっては授業料に含まれており、臨床歯科医学向上を支援している。
高度口腔臨床科学コース:国内研修(ベーシックコース、ステップアップ)、アドバンスコース
総合セミナー
歯科医療に関する最新理論から、グローバルなカレントトピックスまで、多彩なメニューを用意した必修講座。国内外から気鋭の講師を招き、開講される。
国際学会への参加支援
海外で開催される国際学会で、研究発表の機会を提供すると同時に、旅費の一部を補助する制度。
宮田研究奨励金
優れた歯科研究を支援するために、本研究科2~4年生を対象に、研究経費の一部を補助する制度。
長期履修学生制度
この制度は、職業を有している等の事情により、標準修業年限内(4年)での履修が困難な方を対象に標準修業年限を超えて5年~8年にわたり、計画的に教育課程を履修し、課程を修了することができるものである。
本研究科の特色
・専門性を磨くための2コースを設置
高度臨床歯科医を目指す《 高度口腔臨床科学コース》
優れた研究者・教育者等を目指す《 口腔生命科学コース》
・研究系の垣根を取り払った履修・研究システム
・優れた研究を支援するマネーサポート体制
2つの専門コース
■高度口腔臨床科学コース(臨床歯科医学)(文部科学大臣認定「職業実践力育成プログラム(BP)」)
<再生再建医療系>
歯周病学
補綴学
口腔外科学
歯科放射線学
歯科麻酔学
口腔診断学
歯科保存学
高齢者歯科学
摂食嚥下リハビリテーション学
<機能発達医療系>
小児歯科学
歯科矯正学
<健康増進医療系>
口腔衛生学
内科学
耳鼻咽喉科学
障がい者歯科学
■口腔生命科学コース(基礎歯科医学)
<形態系>
解剖学
口腔解剖学
口腔病理学
歯科法医学
<機能系>
口腔生理学
口腔生化学
歯科薬理学
口腔微生物学
<生体材料系>
歯科材料学
研究指導体制
博士課程/4年制 (入学定員18名)
1年次
・指導教授の決定(4月)
・研究テーマ(主科目・副科目・CE科目等)の決定
・研究に必要な理論・分析方法論等(文献サーベイを中心に学習指導)
・研究テーマ選定に関する指導
・研究フレームワーク作成指導
・CE科目の履修
2年次
・研究テーマ、フレームワークに応じた研究指導
・研究の進展と成果のチェック
・CE科目の履習
・論文執筆計画(主論文:1編、副論文1編)の策定と執筆指導
・研究の進展と成果のチェック
・副論文執筆の進展・成果チェック
3年次
・副論文提出・指導
・中間研究発表会(6~12月)にて発表
・CE科目の履習
・海外での学会発表が可能
・主論文執筆に関する指導・助言
・主論文執筆の進展・成果チェック
4年次
・主論文第1稿完成
・研究発表会(6~12月)にて発表
・CE科目の履習
・主論文修正・改訂作業に関する指導・助言
・主論文予備審査(9~12月)
・最終的・包括的な指導・助言を経て主論文審査最終試験等の実施(10~2月)
・課程修了の認定(2月)
・博士号授与(3月)
歯学研究科研究内容 (予定)
※横にスクロールできます。
コース | 系 | 主科目 | 指導教授 | 主な研究内容 |
---|---|---|---|---|
高度口腔臨床科学(臨床歯科医学) |
再生再建 医療系 |
歯周病学 | 申 基喆 |
○メカニカルストレスによる骨吸収に関する分子生物学的研究 |
補綴学 | 大川 周治 | ○ブラキシズム抑制療法に関する研究 ○咀嚼機能に関する定量的解析 ○味覚機能に関する研究 ○顎口腔機能再建に関する研究 ○インプラント補綴における基礎的研究 ○磁性アタッチメントに関する臨床的研究 ○部分床義歯の支台装置に関する研究 |
||
藤澤 政紀 | ○ブラキシズム制御に関する研究 ○ストレスと顎機能の関連 ○顎機能と全身機能の関連 ○クラウンの形態と支台歯に加わる応力の三次元有限要素法による解析 ○顎顔面補綴装置のデジタル解析に関する研究 ○歯冠補綴処置の色調に関する研究 ○インプラント補綴に関する研究 ○CAD/CAMによる補綴装置の精度に関する研究 ○ジルコニアの物性、賊形性に関する研究 |
|||
口腔外科学 | 山本 信治 | ○インプラントと再生療法の臨床的研究 ○口腔癌の分子生物学的研究 ○光学機器を用いた口腔粘膜疾患の研究 ○薬剤関連顎骨壊死に関する研究 ○抗がん剤に関する研究 ○唾液腺疾患に関する研究 ○顎変形症に関する研究 ○神経機能修復に関する研究 |
||
坂下 英明 | ○唾液腺疾患(特に腫瘍)および歯原性腫瘍の臨床的基礎的研究 ○効果的個人別口腔癌治療を目指した基礎的ならびに臨床的研究 ○口腔癌転移へのH2ブロッカーの影響 ○口腔癌組織におけるアポトーシス研究 ○実験動物を用いた実験的良性・悪性腫瘍の発生ならびに基礎的研究 ○顎変形症の研究 |
|||
歯科放射線学 | 鬼頭 慎司 | ○X線の被曝線量測定 ○画像解析によるX線画像の特徴量抽出 ○デジタルパノラマ撮影装置の画質評価 ○CAD(コンピュータ支援診断)の研究 ○音響振動による口腔疾患の解析 ○新しい検査装置の開発 ○低線量放射線の細胞に対する影響 ○18F-FDG-PET/CT画像の解析 |
||
歯科麻酔学 | 小長谷 光 | ○Conditioned Pain Modulationについての研究 ○痛みの修飾についての研究 ○客観的疼痛評価法についての研究 ○電子的医療システム開発の研究 ○周術期管理におけるストレス反応についての研究 ○周術期における超高感度スマート圧電振動センサを利用した呼吸モニタリング法の開発 |
||
口腔診断学 | 鈴木 正二 | ○免疫組織化学の粘膜疾患診断への応用 ○口腔感染症および関連微生物に関する基礎的および臨床的研究 ○Phenol関連化合物による顎口腔疾患予防に関する研究 ○口腔乾燥症の基礎的及び臨床的研究 |
||
歯科保存学 | 横瀬 敏志 | ○手術用顕微鏡を用いたendodontic microsurgeryに関する研究 ○レーザーを用いた骨再生研究 ○新型根管形成用ファイルの開発と基礎的研究 ○根管内で破折したNiTiファイルの除去に関する研究 ○電解機能水を用いた歯内療法学領域における応用と基礎的研究 ○歯髄細胞の再生と分化に関する研究 ○aPDTを用いた根管治療の開発 ○酸化チタン光触媒を用いた根管治療の開発 |
||
高齢者歯科学 | 竹島 浩 | ○加齢・老化に関する研究 ○高齢者の医療・介護・福祉に関わる基礎的・臨床的研究 ○高齢者におけるインプラント治療に関する研究 ○画像解析ソフトを使用した顎骨形態の研究 ○運動が関連する老化マーカーの探索 ○神経細胞死を抑制する物質の探索 ○口腔扁平上皮癌を選択的に障害する物質の探索 ○リグニン配糖体の口腔細胞における発現と機能解析 |
||
摂食嚥下リハビリテーション学 | 大岡 貴史 | ○乳幼児の摂食嚥下機能発達に関する研究 ○摂食嚥下障害に対するリハビリテーション効果についての研究 ○介護予防事業による舌運動機能の改善効果 ○歯列咬合状態と摂食嚥下機能との関連 ○口腔保湿剤の性状に関する研究 ○口腔機能低下症・発達不全症に関する因子の解析 |
||
機能発達 医療系 |
小児歯科学 | 星野 倫範 | ○Site-specificityと唾液クリアランス ○再石灰化に関する研究 ○口腔環境と唾液 ○咀嚼能率の評価・咀嚼モデルの確立 ○食物の物性と咀嚼能率 ○歯の発生に関する研究 ○障害児に対する医療対策 ○齲蝕細菌に関する研究 ○口腔レンサ球菌に関する研究 ○誤嚥性肺炎起炎菌に関する研究 |
|
歯科矯正学 | 須田 直人 | ○先天性疾患や顎変形症に対する新規の診断や治療法に関する研究 ○CTや光学印象を用いた三次元シミュレーション ○歯や顎骨に加わる矯正力や矯正装置のバイオメカ二クス ○歯の移動に伴う発痛のメカニズムとその制御に関する研究 ○歯槽骨や顎骨の組織再生に関する基礎研究 ○顎顔面領域に異常を伴う遺伝性疾患の分子生物学的研究 |
||
健康増進 医療系 |
口腔衛生学 | (兼)申 基喆 | ○口腔環境要因に関する研究 ○咀嚼機能に関する研究 ○スポーツ歯学領域の研究 ○地域歯科保健医療システムに関する研究 ○要介護高齢者および障害者に関する研究 ○学校歯科保健研究 ○口腔細菌と生体との相互作用の研究 |
|
内科学 | 長谷川 彰彦 | ○糖尿病と歯周病との関連に関する研究 ○歯科疾患に合併する循環器疾患の周術期管理 ○冠動脈硬化の進展抑制に関する研究 |
||
耳鼻咽喉科学 | 野村 務 | ○頭顎部癌手術後の機能評価 ○インプラント治療のための上顎洞底挙上術の構造力学的効果と気流に及ぼす影響 ○顎骨内部監察用超音波プローブの開発 ○computational fluid dynamicsによる顎矯正手術が上気道、睡眠に及ぼす影響 ○歯性上顎洞炎の新しい治療法の開発 ○computational fluid dynamicsによる睡眠時無呼吸症候群の診断、治療効果判定 |
||
障がい者歯科学 | (兼)申 基喆 | ○障がい者の口腔健康維持に関する研究 ○障がい者における深鎮静時の気道に関する研究 |
||
口腔生命科学(基礎歯科医学) |
形態系 | 解剖学 | 天野 修 | ○口腔顎顔面と硬組織における脂肪酸結合タンパク質の局在・遺伝子発現とその役割 ○セプトクラストに関する研究 ○唾液腺の筋上皮と代償性変化に関する組織化学的研究 ○頭頸部の機能・臨床解剖学的研究 |
口腔解剖学 | 羽毛田 慈之 | ○破骨細胞の形成と活性調節機構に関する研究 ○骨細胞の骨代謝における役割 |
||
口腔病理学 | 菊池 建太郎 | ○各種口腔病変における免疫組織的検討およびウイルスゲノムの解析 ○口腔扁平苔癬におけるEpstein-Barr virus(EBV)の関与 ○ヒト唾液腺腫瘍におけるEpstein-Barr virus(EBV)の関与 |
||
歯科法医学 | 坂 英樹 | ○顎・顔面領域における年齢推定に関する研究 ○頭蓋骨からの人種鑑別に関する研究 ○携帯型歯科用X線撮影装置使用時の防護に関する研究 |
||
機能系 | 口腔生理学 | 村本 和世 | ○化学感覚(味覚と嗅覚)の脳内情報統合(風味形成)機構の解析 ○口腔領域への侵害刺激に対する脳内情報処理機構の解析 ○味覚としての脂味受容機構に関する研究 ○心臓特異的非神経性コリン作動系が脳機能に及ぼす効果に関する研究 ○唾液の分泌機構に関する研究 |
|
口腔生化学 | (兼)大森喜弘 | ○骨・軟骨の代謝調節機構に関する研究 ○骨格筋細胞の情報伝達機構に関する研究 ○神経成長とアポートシスを調節する機構に関する研究 |
||
歯科薬理学 | 安達 一典 | ○顎運動発現に関与する中枢神経機構の解明 ○神経因性疼痛と運動調節に関する研究 ○三叉神経領域の疼痛管理に関する研究 ○外分泌機構の解明 |
||
口腔微生物学 | 大森 喜弘 | ○生体防御、免疫応答に関係する遺伝子の発現制御機構 ○口腔癌細胞における免疫監視機構からの回避のメカニズム ○腫瘍微少環境が癌細胞の遺伝子発現に及ぼす影響 |
||
生体材料系 | 歯科材料学 | (兼)申 基喆 | ○修復・補綴材料の耐久性に影響する材料科学的要因の解析 ○歯科インプラント用セメントの開発 ○歯科材料・生体材料の物性に及ぼす臨床技術的要因の解析 |
注:担当教員は変更となる場合があります。