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第5回講座|文部科学省委託 令和4年度明海大学との連携による専門人材育成・確保事業

第5回講座 8月1日(月) 9:30~10:40
言語活動の効果を高めるための工夫とパフォーマンス評価

講師 金子義隆(明海大学教職課程センター・地域学校教育センター教授)

概要

本講座では、「言語活動」の基本的な考え方を確認した後に言語活動の効果を高めるための工夫を受講者の皆さんと考えます。学習指導要領で意図された言語活動を実践するために3つの工夫(必然性のある場面設定、インタラクションの働き、フィードバック)について扱います。最後に、評価の基本的な考え方について確認します。

事前課題

文部科学省mextchannelの「小学校の外国語教育はこう変わる!〜児童の意欲を高めるゴール設定の在り方〜」(12分弱)を視聴して、ビデオ内のコミュニケーション活動を行う際の必然性のある場面設定のやり方を参考にして、学んだことや疑問に思ったことなどを考えておいてください。

小学校の外国語教育はこう変わる!⑧〜児童の意欲を高めるゴール設定の在り方〜(YouTube)>

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講座資料

講座アーカイブ動画

事後課題

この講座で学んだことを基にして、自身の外国語(活動)の授業を振り返り、その優れた点・改善すべき点について学校で同僚と分かち合い、更なる授業実践に活かしてください。

講座評価アンケートに寄せられた質問に対する回答

Q1

コミュニケーションの必然性をつくり出す他の実践例についてあれば教えていただきたいです。

A1

一つの例として、6年生であれば、今回の講座で扱った文科省ビデオ授業の単元を使って、「クラスの思い出を残すために、卒業アルバムを作ろう」という目標を設定する。一人ひとりアルバムに残したい小学校の出来事を選んでどのような内容を話す(書く)のかを考える。考えた内容と合った絵と文を書いて自分の思い出を作るという言語活動にすることも考えられるかと思います。

また、必然性の場面例ではありませんが、児童同士でお互いにやり取りしなくてはならない状況を作り出すためにインフォメーション・ギャップを利用することも有効だと思います。児童Aと児童Bが持つ情報が違っていて、お互いに情報交換をしなければならない状況を作り出すとコミュニケーションしなければならない状況ができると思います。ただし、言語活動を考える時に、指導者側が「何のために児童が情報交換をするのか」という必然性の設定をする必要があります。

Q2

資料P28 主学態の評価基準について、A評価の「適切な工夫」とB評価の「工夫」の違い(「適切」とはどういうことか)を児童のパフォーマンス例で具体的に教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。(どちらも( )内では「声の大きさやジェスチャー、アイコンタクトなど」となっていたので)

Q3

「主体的・・・」の段階的評価基準に関する質問です。「A適切な工夫を行っている」「B工夫を行っている」の違いはその工夫が十分かどうかということですが、「十分な状況」についてもう少し詳しく知りたいです。普段は、聞き手に伝わるように「Clear Voice」「Eye Contact」ができていたらB、それ以外にもジェスチャーなど相手に伝わるような工夫ができていたらAのように評価しています。工夫の数で区切っているような形になっていることにモヤモヤしていました。ABの具体例などを挙げて教えて頂けると大変ありがたいです。

Q4

近くの先生とも話題になりましたが、パフォーマンス・モデルの「主体的に学習に取り組む態度」のABの評価の基準A評価の【適切な工夫】、B評価の【工夫】の差異のつけ方が難しいということです。AでもCでもない場合B評価だと思うのですが、AとBのどういうところが評価の分かれ目になるのか参考になることがあれば教えていただきたいです。

A2・A3・A4(ご一緒にご回答いたします。)

講座内での説明では十分に伝わらなかったかもしれないのでここで確認させていただきますが、ルーブリックで評価基準を「A,B, C」とするとき、各観点の評価規準が「満足できる状態」、つまり「設定した学習到達目標が求めるレベル」である状態を「B」、そしてそれ以上の工夫や取組が見られる場合を「A」としていることを申し添えておきたいと思います。

「話すこと(発表)」における「主体的に学習に取り組む態度の観点」の評価項目を「他者意識と主体性」と考えて、「声の大きさ」、「アイコンタクト」、「ジェスチャー」という3つの要素を見取るとします。それら3つが「円滑なコミュニケーションとなるように機能」していれば「B」、その3つのうちどれかが「コミュニケーションに支障をきたす、あるいは円滑なコミュニケーションのために機能していなければ「C」、さらに3つの観点のいずれかでも「円滑なコミュニケーション」を求めるレベル以上に効果的、あるいは工夫して(あくまでもコミュニケーションに支障をきたさない形で)用いられていれば「A」とします。評価「B」から「A」に上げるための「適切に」という部分については、「適切に」という表現を、「コミュニケーションに支障をきたさない形で求めるレベル以上」という意味で捉えていただければよいかと思います。

講座でも申し上げた通り、作成したルーブリックはパフォーマンス評価の前に必ず児童と共有します。必要に応じて、どうすれば「A」で、どうすれば「B」あるいは「C」なのか解説をして共通理解を図っていただきたいと思います。。

上述したアイディアは一つの例です。先生方が必要に応じて修正していただいて結構です。評価の場面で一番大切なことは、ダブル・スタンダードを作らないことです。つまり、一度基準を作ったらぶれないことです。絶対的な基準というものは最初から存在しないので、決めた基準を曲げずに首尾一貫してクラス全員を公平に評価することが大事です。