• HOME
  • 学部・大学院等
  • 第3回講座|文部科学省委託 令和4年度明海大学との連携による専門人材育成・確保事業

第3回講座|文部科学省委託 令和4年度明海大学との連携による専門人材育成・確保事業

第3回講座 7月28日(木) 13:30~14:40
「聞くこと」「話すこと」の指導

講師 井熊ひとみ(J-SHINE理事 共愛学園前橋国際大学客員教授 育英短期大学非常勤講師)

概要

「小学校外国語活動」・「外国語」の授業において指導要領に求められている目標を理解し、その技能や資質、能力をどのような手順で育成するかを学びます。日本に育つ子どもたちが英語に触れ、学ぶプロセスからコミュニケーションに意欲をもって学びを進められるかを先生方と一緒に探していきます。そのための目的、場面設定、状況をどのように創り出していくか、そのためにはどのようなコミュニケーションが必要で子どもたちの気づきを促せるような活動を行うかを考えていきます。

事前課題

(1)「小学校外国語活動・外国語研修ガイドブック」(文部科学省)をよく読んでおいてください。

    https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1387503.htm

    基本編 小学校外国語教育の言語活動  P23~P26
    授業研究編Ⅰ 授業研究の視点①②③  P44~P48
    授業研究編Ⅱ 授業研究の視点①②   P76~P79    
    授業研究編Ⅱ 授業研究の視点「Small Talk」  P84

(2)文科省「なるほど!小学校外国語①」言語活動 YouTube動画を視聴しておいてください。

   「なるほど!小学校外国語① 言語活動」(YouTube) >

   文科省なるほど小学校英語「言語活動」Youtube.png

講座資料

アーカイブ動画

事後課題

夏休み明けのそれぞれの学校における単元について、どのような「聞く」「話す」活動ができるか校内で話し合ってみましょう。
こんな活動はどうだろうか、というアイディアを発表していただきます。

講座評価アンケートに寄せられた質問に対する回答

Q1

資料の17に書いてある、「言ってしまう」活動の意味がよくわかりませんでした。
A1

「言ってしまう」と表現をしましたが、それは、「言う必然がある」とご理解頂ければよろしいかと思います。「言わされている」活動と区別をするためにこのように表記をいたしましたが、その理由は「言う必然がある」とご解釈ください。

子どもたちが発話をするときに、インフォメーションギャップの必要性は先生方も普段から取り組んでおられると思います。また、子どもたちの視点からすれば、それは、「言いたい」という気持ちがある、と解釈もできるかと思います。最初は日本語で反応するかもしれませんが、「言いたい」「言う必然性のある状況、場面」だからこそ「言ってしまう」と表現をしました。日本語で反応した事、それが英語でどのように表現するのか、を学ぶチャンスでもあります。その意図からも、ご理解頂ければと思います。

Q2

児童同士で相槌を言い合えるようにするための指導例があれば知りたいです。繰り返し指導したり、学級に相槌のパターン例を掲示したりすることが大切なのかな、と思いますが、他に効果的な指導例があれば教えて頂きたいです。
A2

学級に「あいづち」の例を示すのはとても良い方法ですね。一度にたくさんは負担も大きいかと思いますが、普段の授業の中で取り入れられるように、いくつかの例を口頭で行いながらそれを掲示しておくと、子どもたちの目に入りやすいかと思います。

あいづちは、どんな時に使うでしょうか。日本語でイメージしていただくと、

「え、ほんと?」「そうなんだ」「わかったよ」「あ、聞こえなかったもう一度お願い」などの

たくさん会話の中にヒントがありそうですね。

またあいづちとは少し意味合いが異なりますが、「ステキね!」「大変だったね・・」「かわいそうに」「私、知っているよ。」「あなたは?(問い返し)」などもあるかもしれません。

それらのあいづちは、自然な会話の中で発生するものです。単元のめあてを学んでいる時に、

問いかけに対して子どもたちはなんて言いたいでしょうか。また、誰かが話をした時にどんな反応がおきるでしょうか。効果的な指導例は、「自然な会話」として起きる反応を英語にしてみることで、子どもたちは相槌を使いたくなる、使えるようになる、という事だと思います。テキストの中にある会話例だけでなく、ふだんの会話から発生する反応を使ってみるのはどうでしょうか。

つまり「あいづち」を使える場面をどのくらい授業の中で作れるか、という事だと思います。

効果的な指導例とすれば、先生が進んでその表現への反応をあいづちとして見せてあげることです。

場面、状況があっていれば、子どもたちは先生の反応するあいづちに理解を示すでしょう。

子どもたちが「あぁ、わかった」となった時に、教室に掲示されたあいづち例を思いだして使えることもあるかと思います。そういう意味では可視できるものも効果的ですね。

Q3

普段の授業でも、会話でも話すことが苦手な児童に対して、外国語活動は話すことがメインになりますが、話すことが苦手な児童も話せるために何かポイント等はありますか。
A3

講座でお伝えしたように、子どもたちはまず聞いた言葉をいっぱい脳の中に貯めこんでいます。

それらをすぐに自発的に話すことはできません。言いたくなる時が来るのを待つことも必要かと思います。概して、物静かなお子さんは、よく聴いている傾向もあるのではないでしょうか。そのお子さんが理解しているかどうかを観察されると先生にもアプローチの方法がおありかと思います

何か作業をしているときに机間指導をしながらその子どもに英語で話しかけてみたり、反応が起きたりすることもきっかけづくりや意欲につながると思います。

苦手意識がどこからできているか、を見通すことも大切ですね。過去の失敗を思い浮かべ話すことが苦手になるお子さんもいますし、人前で話すことにためらう性格のお子さんもいることでしょう。それでは先生は困ってしまうと思うのですが、話せるように、話したくなるようなタイミングをぐっとこらえて待つこともひとつの解決策になりますね。

また、大勢の前で話すのは苦手でも、友だち同士なら話せる子どももいます。ハードルを低くして、成功体験を作れたらきっと、少しずつ自信もついて声に出せるのではないでしょうか。

まずは全体活動の中で発話をするなどの負荷を少なくし、グループでの発話、ペアでの活動、とだんだんにステップアップしていくことも効果があるかもしれません。

確かに外国語活動においては「話す」ことがとても重要なポイントですが、そのお子さんにとって、小さな自信が発話をするきっかけづくりになると思います。一度そのハードルを越えられた時、もう一度チャレンジしてみよう、言ってみようという気持ちが生まれ、育つかと思います。

言語の習得には個人差もありまた、とても長い道のりですね。小学校の段階では時間をかけて土台を作っていく時と理解して小さなチャレンジをほめながらじっくり進めてみてはいかがでしょうか。

Q4

低学年の担任です。週に1時間外国語の指導を行なっています。練習、歌、ゲームが中心ですが、自分の気持ちや考えを含めた言語活動を取り入れて行きたいと考えました。よい事例、アイデアはありますか。
A4

低学年の児童の場合は、特徴があります。たとえば、集中力は短い、身体を動かすことが好き、楽しければ何度も繰り返す、また英語学習においては、年齢が低いほど、耳から得た音をまねる(Re-produce)再生能力に長けています。シンプルで、すぐに何度も行えるようなゲーム、みんなで達成感をもてるような活動、などの特徴を考えると、ひとつの活動時間が短い方が良いようです。自分の気持ちを含めた言語活動とは、事実として子どもがすぐに答えをだせるようなゲームがいいと思います。それは、気持ちを表せる言葉から入っていればよいと思います。ですので外国語活動のテキストには、クイズのようなゲームや、語彙についても、「好き、嫌い」などの気持ちを表現しやすい題材が並べられていると思います。

曜日などの好き嫌いは、あまり普段の会話ではでてきません。でも、ここで扱うことで、「なぜ?」が生まれます。「好きな科目があるから」「好きなテレビ番組があるから」などの気持ちを表現することができるかと思います。「ほしい、欲しくない」のテーマなども取り扱いやすい、気持ちを表現しやすい内容となっています。英語で先に活動を考えるよりも、まず、子どもたちが表現しやすい、気持ちを表しやすい場面設定があると、英語で表現する必然が生まれると思います。そのために、歌やチャンツで口慣らしして定着をはかり、表現しやすいように授業を展開していくとよろしいかと思います。意外と活動は、種類より場面、複雑よりシンプル、の方が気持ちをのせやすいのではないでしょうか。

答えがひとつとは限らない、答えは正誤ではなく、自分の意志で発話していいのだという環境づくりも大切かと思います。