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第5回講座|文部科学省委託 令和3年度教員養成機関等との連携による専門人材育成・確保事業

第5回講座 聞くこと・話すことの指導 Lesson2

8月3日(火) 10:50~12:00

J-SHINE 会長(玉川大学大学院名誉教授)

佐藤久美子

概要

「聞くこと」の基本的な指導法や「Small talkを生かした4技能を取り入れた効果的な指導方法」、「1人1台端末の効果的な活用場面」、「相手の話す内容を予測しながら聞く力の育て方」など、事前にいただいたアンケートの質問について、実際に小学校で行われている実例を挙げながらお話します。All Englishで行う、あるいは日本語を減らす指導法などについても、講座の中で、講師と受講者とのやり取りをも一部入れながらやり取り(Activity)も一部行います(講義+ワークショップ型)。

事前課題(第4回・第5回講座共通)

事前課題 (1)

以下の「外国語の目標」に書かれている言語活動とは、外国語活動・外国語の授業において、具体的にはどんな活動を指しますか?

考えて複数挙げてみましょう。

解答例:歌、チャンツ、絵本の読み聞かせ、など

事前課題 (2)

『イラスト図解 小学校英語の教え方25のルール』(佐藤久美子著、講談社)

こちらを事前に読んでいただければ幸いです。特に、以下のRuleが本研修に係わる部分です。事前に読んでいただき、考えておいていただけると、より研修が分かりやすいと思います。

Rule16 目標表現は必然的な場面で運用!

「必然的な場面」とはどんな場面ですか?

Rule 17 英語のやりとりには絵本を使う!

絵本はどのように読むのでしょうか?

Rule 18 発表は“Show and Tellで楽しく!

Show and Tell”とは、どんな発表形式ですか?

Rule 20 「聞くこと」では身近で簡単な話を!

身近で簡単な話とは、どんな話ですか?

Rule 22 「話すこと」ではパフォーマンステストを意識!

小学生のパフォーマンステストとは、どんなテストですか?

講座資料

講座アーカイブ動画

事後課題(第4回・第5回講座共通)

今回は講座の中で、皆さまからの質問にお答えしました。今度は皆さまの番です。講座の中で扱った以下のトピック、できれば具体例を挙げながら答えましょう。

Question 1 目標表現は必然的な場面で運用!

今回の授業では、How many~?を使った発表をするのがゴールです。児童が、お互いのふでばこの中身を見ながら、How many pencils do you have?と質問をすることは、「必然的な場面」とは言えません。答えが分かってしまうからです。また、ワクワクする言語活動とも言えません。

◎そこで、児童が自分の考えや思いが伝えられる、How many~?を使った活動、特に、最後の発表の仕方を考えましょう。

Question 2 英語のやりとりには絵本を使う!

小学校にある、あるいは、ご自分の家にある、あるいはオンラインで見つけても良いので、簡単な絵本を1つ使い、「聞き取り」の指導の仕方、児童と英語で「話す(やりとりする)」指導方法を実践してみましょう。

絵本を読む前に、まずは何をしますか?児童が聞きやすい指導方法を使います。

次に、本を読み進めます。どのような、質問ややりとりをしますか。

講義の内容を思い出し、さらに自分で工夫をして、読み語りを実践してみましょう。

講座評価アンケートに寄せられた質問に対する回答

【質問1】
音声に慣れ親しませる時間が十分に確保できないときの、対処法を教えてください。トップダウンのお話が興味深かったです。Listeningについての考え方が変わりました。お聞きしたいのは、ボトムアップについてです。普段の授業では、スモールトーク後、「What did you hear?」と聞くことが多いのですが、聞き取らせるときにどんな工夫をしたら良いかということです。なかなか聞き取れない子がいます。聞かせる前に聞き取るポイントやクイズ「先生の好きな食べ物が出てくるよ。何かな?」を出しても良いものでしょうか。

【回答1】
トップダウンの話がお役に立ったようで、嬉しいです。ボトムアップですが、先生がおっしゃっているように、聞かせる前に聞き取るポイントやクイズを出すのも、良いアイディアだと思います。このように、ある程度予想される知識を与えておくと、聞き取りがやや弱い子どもも、少し自信を持ってきくことができます。こうした安心感を持ってリスニングに望むことが、何よりも大切です。また、黒板に予想される単語を書いておき、いくつ聞き取れたかな?などと、質問しても良いと思います。子供たちに、聞き取れた単語や内容など、どんどん自由に話させるもの、やる気を起こさせると思います。

【質問2】
第4・5回と話すこと・聞くことについて、大変為になるお話をいただきありがとうございました。早速実践したいところですが、2学年の担任のため、英語の授業の時間はありません。朝の会などの短い時間で、何か低学年でも行える活動等がありましたら教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。

【回答2】
2年生でも、毎回目標表現を決めて、リズムに乗って言う活動は大いにお勧めです。
Do you like lions? Yes, I do.
Do you like snakes? No, I don‘t.
What food do you like? I like sushi.
など、毎回、テーマごとにリストに載せた文を、楽しくチャンツなどで反復練習します。いざ、授業で習い、使おうとするときに、口から自然に英語が出ます!中学年で使う文も、どんどん言わせたら良いと思います。また、Youtubeに載っているSuper Simple Songsなどは映像もあり分かりやすいので、歌を朝の会などで毎日歌うのも、英語になじむ良い活動だと思います。

【質問3】
タブレットを活用して、分からない英単語を調べた際に、間違った単語や文を検索しそれをそのままワークシート等にまとめてしまった場合に児童への声掛けを教えてください。また、HRTが間違いを見落としてしまうことも多いのですが、児童でできる間違い回避方法があれば教えてください。

【回答3】
タブレットで英単語を調べるのは、意外と難しいのです。やはり、基本的には紙の辞書を使って調べさせることを、お勧めします。また、目標表現はある程度決めておき、単語やフレーズを置き換えるところから、文を書かせた方が良いと思います。単語を適当に並べたのでは、英語として通じません。
最初に、「この下線の部分を調べた単語で置き換えてね!英語は、語順が大切で、順番が違うと意味が通じないからね」と、全員に声掛けしておくことが大切だと思います。また、スピーチ原稿などができた人から、ALTやJTEの前に行って話させる、という指導法は、間違いを訂正できる効果的な方法です。こんな時に、是非ALTやJTEをうまくご活用していただければと思います。

【質問4】
資料14では,毎回small talkを活用1分間という資料がありますが,文型を決めて練習と書かれていましたが,文型のあるものもsmall talk になるものなのですか?英語を使ったコミュニケーション活動とsmall talk の違いが明確ではありません。明確に違いがあるものなのだとしたら教えて欲しいです。
例えば,small talkではない言語活動・コミュニケーション活動とは具体的に何ですか?

【回答4】
トップダウンの話がお役に立ったようで、嬉しいです。ボトムアップですが、先生がおっしゃっているように、聞かせる前に聞き取るポイントやクイズを出すのも、良い教師のsmall talkであるならば、既習の語彙や表現、生徒がもっている予備知識を活用しながら、絵や写真なども用いて、新たな題材や言語材料などについて教師が口頭で導入する活動を指します。授業の概要を理解させることができます。また、生徒とのやり取りを取り入れることで、授業が英語によるコミュニケーションの場にとなります。
1分間スピーチは文型を決めて、というのは、上記のように、既習の表現を指します。What food do you like?などを使って、好きな食べ物についてペアで話してみよう!というような内容です。その間、自由にReactionを取ったり、感想を言ったり、既習表現を使って、話題を広げることもできます。例えば、I like peaches. Why? Peaches are pink, and I like pink.など。色は習っているので、既習表現を使えます。Small talk以外の言語活動の主なものは、presentation / production(発表)になります。スピーチ原稿を前もって作り、皆の前で発表します。しかしこれも、一方的に話すだけではなく、双方向の良いコミュニケーションの場に発展させることもできると思います。発表が終わってから聞いている生徒が感想や質問をしたり、逆に、発表者が質問をしたり。是非、試してみてください。