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第4回講座|文部科学省委託 令和3年度教員養成機関等との連携による専門人材育成・確保事業

第4回講座 聞くこと、話すことの指導 Lesson 1

8月3日(火) 9:30~10:40

J-SHINE 会長(玉川大学大学院名誉教授)

佐藤久美子

概要

「話すこと」の基本的な指導法、及び「聞くこと」「話すこと」の評価方法について、具体的なActivityや児童の発表内容に基づきながら理解する内容です。また、参加者から事前にいただいた「児童の発話を増やすための手立て」、「会話を継続させる力をつける活動例」、「児童が英語で対話できるようになるための指導のステップとは」などの質問に、具体例を挙げてお答えします。講座の中で、講師と受講者とのやり取り(Activity)も一部行います(講義+ワークショップ型)。

事前課題(第4回・第5回講座共通)

事前課題 (1)

以下の「外国語の目標」に書かれている言語活動とは、外国語活動・外国語の授業において、具体的にはどんな活動を指しますか?

考えて複数挙げてみましょう。

解答例:歌、チャンツ、絵本の読み聞かせ、など

事前課題 (2)

『イラスト図解 小学校英語の教え方25のルール』(佐藤久美子著、講談社)

こちらを事前に読んでいただければ幸いです。特に、以下のRuleが本研修に係わる部分です。事前に読んでいただき、考えておいていただけると、より研修が分かりやすいと思います。

Rule16 目標表現は必然的な場面で運用!

「必然的な場面」とはどんな場面ですか?

Rule 17 英語のやりとりには絵本を使う!

絵本はどのように読むのでしょうか?

Rule 18 発表は“Show and Tellで楽しく!

Show and Tell”とは、どんな発表形式ですか?

Rule 20 「聞くこと」では身近で簡単な話を!

身近で簡単な話とは、どんな話ですか?

Rule 22 「話すこと」ではパフォーマンステストを意識!

小学生のパフォーマンステストとは、どんなテストですか?

講座資料

講座アーカイブ動画

事後課題(第4回・第5回講座共通)

今回は講座の中で、皆さまからの質問にお答えしました。今度は皆さまの番です。講座の中で扱った以下のトピック、できれば具体例を挙げながら答えましょう。

Question 1 目標表現は必然的な場面で運用!

今回の授業では、How many~?を使った発表をするのがゴールです。児童が、お互いのふでばこの中身を見ながら、How many pencils do you have?と質問をすることは、「必然的な場面」とは言えません。答えが分かってしまうからです。また、ワクワクする言語活動とも言えません。

◎そこで、児童が自分の考えや思いが伝えられる、How many~?を使った活動、特に、最後の発表の仕方を考えましょう。

Question 2 英語のやりとりには絵本を使う!

小学校にある、あるいは、ご自分の家にある、あるいはオンラインで見つけても良いので、簡単な絵本を1つ使い、「聞き取り」の指導の仕方、児童と英語で「話す(やりとりする)」指導方法を実践してみましょう。

絵本を読む前に、まずは何をしますか?児童が聞きやすい指導方法を使います。

次に、本を読み進めます。どのような、質問ややりとりをしますか。

講義の内容を思い出し、さらに自分で工夫をして、読み語りを実践してみましょう。

講座評価アンケートに寄せられた質問に対する回答

【質問1】
中学校のライティング評価で、文字数によって評価すると事前に生徒に伝えるというお話がありました。「既習表現を使おう」というテーマだからだとは思いますが、短く簡潔でわかりやすい英文を書いた生徒の評価がBで、長々と書くことで逆にわかりづらい英文になってしまった生徒の評価がAになることもあり得るのではないかという疑問がありました。それが全てではなく「実態に応じて」であれば、事例を知りたいと思いました。とてもわかりやすい講義をありがとうございました。

【回答1】
中学校のライティングの評価は、例えば、文の数で評価していました。
例  A:10文以上 B:7~8文 C:6文以下 
この時、もう1つ条件がついていて、すべて同じ種類の文を使ってはいけない。Canだけ含む文を使っている、isだけ含む文を使うのではなく、canもisも使ってください、というようなものです。
Ichiro can run very fast. He is a good baseball player. のように。
事前に、生徒たちにこれらの評価基準を与えておくことが大切だと思います。また、他の基準の例では、起承転結を表す文をそれぞれ1文ずつ書きなさい、などもありました。いずれも、中学校1年生の例ですので、それほど長い文は書けませんので、単文の数や、その単文の内容で評価することが多いようです。

【質問2】
歌の扱いの点で、歌詞を提示しないと歌えないということと、高学年は簡単な歌ではない方がいいとうかがったのですが、歌詞が児童にとって難しいから歌えないのかなと思いました。英語のリズムを崩さない、繰り返しの多い、むしろ簡単なもので、耳に残りやすいメロディあるものや韻を踏んでいるものなどを選ぶと、歌詞がなくても子どもたちたちは何回かきくと勝手に歌えるようになると思いますが、いかがでしょうか?

【回答2】
歌詞はあった方が良いのは、3年生以上かと思います。1,2年生は歌詞がなくても、すぐに耳で覚えて歌います。3年生以上の子供たちは、歌詞があった方が安心すると言います。高学年が簡単な歌ではないほうが良いという意味は、あまり、子どもっぽくないものが良い、という意味です。おっしゃる通り、基本的には、歌は繰り返しの多い、目標表現が何度も使われているようなものが耳にも残り、歌いやすいです。一方で、低学年や中学年が歌うかわいらしい動物の歌を高学年にも歌わせると、ややつまらなく感じることもあるようです。歌詞がやや難しい物でも、小学生の内はかなり耳がよく、数回歌っていると歌えるようになります。歌詞も、出てきた単語をクイズのようにみんなで当てたり、先生が出てくる単語を予想して黒板に書き、こんな単語は出てきたなか?などと、当てさせたりしている小学校もありました。また、思い切って、歌詞カードにカタカナを振って配布している6年生の先生もいらっしゃいました。すべての子供が、耳から覚えられるわけではないので、という理由でしたが、最初はカタカナに頼っていても、段々に必要がなくなるそうです。いずれにしても、やはり子供たちの発達レベルになるべく合った歌は、喜ばれるようです。

【質問3】
外国語の研修会には、積極的に参加するようにしていますが、今後教科担任になるという話を聞くとモチベーションが下がります。今後の国としての方針はどのように進んでいくのでしょう。

【回答3】
確かに中教審の議論の中で、小学校高学年の教科担任制の導入の中で、来年度から段階的に英語については教科担任制とする方向性が定まっているようです。これに呼応して、東京都などは、専科教員を増やそう、という話が起きています。しかし実際には、数はそれほど多くありません。また、これまで先生のように積極的に英語に取り組んできた小学校では、むしろ担任が続けて教えていきたいと、話されています。実際問題として、全国に多数ある小学校すべてに、専科教員が入ることは不可能です。少なくても、3,4年生はこのまま担任が教える傾向が続くと思います。

【質問4】
10ページ目のスライド「1 学びのまとまりとしての効果的な単元構成」のなかに、「Small Talkすごろく」というものがあります。具体的にどのような活動をするものなのか、教えていただきたいです。よろしくお願いします。

【回答4】
ごめんなさい。講義で触れませんでしたね。時間がなくて、駆け足になりました。すごろくを自分たちで作り、テーマなどを書いておきます。「好きな食べ物」「好きなスポーツ」「好きな動物」など。さいころを振って、出た数だけ進みますが、そこに書かれているテーマについて英語で話す、というものです。言えなければ、元の場所にいます。とても楽しそうでした。

【質問5】
teacher’s talk もpair talk もどちらもsmall talkになるのでしょうか。

【回答5】
Teacher‘stalkとは、Classroom Englishの発展版を指します。Stand up, please. Listen to me.のような機械的な、初歩的なものから一歩出て、What do you think of it?などと、生徒の考えを聞いたり、絵本の読み語りで、Which character do you like?(どの登場人物が好き?)など、自由に語り掛けるものを指します。Pair talkは、ペアで話すことを指しますので、その内容が、テーマを与えられて自分の考えや気持ちなどを伝え合うようなものであれば、small talkになると思います。

【質問6】
聞くこと、話すことについては非常にすぐれているが、書くことになると億劫(得意ではない)になる児童に対しての指導や助言について、よい手立てはありますか。

【回答6】
一度にたくさんの英文を書かせないことだと思います。しっかり話せるようになった英文を、1~2文ずつ、毎回書いていけば、それほど億劫にはならないと思います。単語も、一度にたくさん書かせることは避けましょう。

【質問7】
資料10に載っている単元構想図の中で、small talkすごろくというものが気になります。内容が分かりましたら、どのようなものか教えていただきたいです。質問ではありませんが、自由の女神の画像は差し替えた方がよろしいかと思われます。(右手に問題あり。)

【回答7】
small talkすごろくのことは、回答4をご参照ください。自由の女神像の件は、ご指摘ありがとうございます!私もスライドを載せてしまってから、気が付きました!大変失礼いたしました。最終版は差し替えました。

【質問8】
資料の「授業の流れ」で示されている「⑥Presentation」とは、具体的にどんな活動内容なのかを教えていただきたいです。また、資料に、必然的な場面での発表の例として、旅行社を訪ねる場面設定のものが挙げられれていたと思います。私自身の認識として、話すこと[発表]の言語活動では、発表者が一方的に発表する(話す)ものと勝手に認識していたのですが、例で挙げられているように、対話形式であってもいいのでしょうか。自分の授業では、発表の途中でリアクションがあったり、発表を終えてから質問するようなことは行っていましたが、資料のような対話形式では、行ったことがありませんでした。

【回答8】
小学生には、英語だけでお話すると聞いている人も分かりにくかったり、話す人も自信がなかったりする場合もあるので、Show&TellのPresentationをお勧めしています。自分たちが描いたものや、タブレットの写真などを見せながら、説明したり、意見を伝えたりします。発表者が一方的に話すこともあれば、グループやペアで前に出てきて、インタビューをする形式の発表も良いと思います。対話形式であれば、少し苦手な児童も、楽しく参加できます。是非試してみてください。